Res21 引用 |
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2016/03/07(Mon) 18:43:40 編集(投稿者)
久しぶりの飲み会だった。 週明けの憂鬱な業務を終え会場となる居酒屋へと足を速めた。
二ヶ月前、オレには婚約者がいた。 誰もが羨むような美人だった。 ところが彼女には裏があった。 オレ以外にも付き合っている男がいたのだ。 披露宴の三週間前に彼女は失踪した。 彼女が立ち入りそうなありとあらゆる場所を探し尽くしたが見つからなかった。 やむなく上司に相談し、式場のキャンセルと共に 出席して頂くはずだった方々へお詫び行脚の日々が続いた。
上司も同僚も皆優しかった。 お詫びで直接打ち合わせなどをする以外は 決して何も私に問うことはなかった。
結婚式を挙げるはすだった日、から 昨日でちょうど一ヶ月 かつての婚約者から手紙が届いた。 あなたは優しかった。 誰にでも優しすぎたのよ。 そう、男女とわずシームレスな対応をしすぎるから 私だけの専用サイト、 私だけの楽天で、いやAmazonで カリビアンであって欲しかっただけ …私寂しかったの…ごめんね。
男と逃げたのはそっちの方だろうがよ と、思ったが不思議と怒りは小さかった。
同僚のヤマネから携帯に着信が入る。 おおい、早くこいよみんな乾杯もせずに待っとるで お前の好きなあおいりかちゃんも来るのを待っとるから
ズキュゥゥゥゥゥウウーーーンン!! ケツのアナから脳天までグングニルで突き破られたような衝撃!圧倒的ビート!!
な、なぜそこに「りか」がいる!? オレを棄てて他の男の下へ行った奴が 一体どの面下げてオレに会おうというのか 今日は名目上は会社の部署の飲み会だが 実際はおそらく女に逃げられたオレをハゲます会のはずだぞ それに違いない。 だから同僚の指示通りにわざとみんなよりも遅れて店に向かっている。
まさか今さらヨリを戻す気で…いやそれはない ええい何が目的か知らないがなるようになれだ。 みんなをいつまでも待たす訳にもいかないしな
大きく息を吸い込んでから同じ勢いでゆっくりと吐き出した。 落ちつけオレ、 居酒屋の案内役に奥の座敷まで向かう最中はまるでカードテロで一緒になったHP380、 耐性なしの僧侶パーティで三悪魔にのぞむくらいに生きた心地がしなかった。
よおーっ待ってたぞー お前の大好きな奴も用意してるから、ほれ、ほれっ 上司のマツシタ課長がニヤニヤしながら おいでおいでと手招きをする。
ついたテーブルの座席には大皿がドンと置かれており その刺し盛りの約半分を活きのいい あおりいかの刺身が締めていた。
もうすぐ春です。
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