Res10 引用 |
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恵まれてるな。 戦後の荒廃の中、うちの両親たちの世代はふかした芋を片手に今日を生きることに精一杯だった。
そして私や姉弟たちを立派に育て上げる為に必死で働いた。 やがて日本に高度成長期が訪れ国民たちの暮らしは次第に楽になっていった。
今日生き残ったら明日の心配をしていた。 そんな時代から言えば飽食の今を生きる僕らは本当に恵まれていると思うよ。
国は富み、 やがて今日明日の心配をする必要のなくなった国民たちはそのできた多少の余裕を娯楽に投じた。 TV画面でゲームをすることなど当時はまだ先の先の話だと考えられていた。 そこに任天堂から画期的な機械が登場する。 そう、俗に言うファミリーコンピュータである。 発売後は売れに売れた実機であったが まだまだ高価な玩具ではあった為 全ての家庭に普及するまでには少しの時を必要とした。
2年後の誕生日に、少年はやっとのことでそれを手に入れた。 父親からそれを受けとった彼は嬉しさのあまりに号泣してしまい 親機と共に添えられていた1本のソフトの名前が涙でよく見えなかった。
今、一番人気のあるソフトだよ。
父親からそう告げられた彼はすぐにピンときた! エニックスのやつだな…
一刻も早くプレイしたかったので 両手で目をぬぐってそれを再び手に取って確認した。
バンゲリングベイ
買わなきゃハドソン。 彼はその夜再び枕を濡らした… |