Res57 引用 |
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そうですね、昔話をしましょうか。
あれはまだ、はながキーエンブレムを集めていた頃のお話。 当時、はなは3人の仲間と行動を共にしていました。 戦戦武僧です。
全員、MMOは初めてできたが、それなりに楽しくやってました。 そこに陰りが生まれたのは、仲間の戦士の片方が問題行動起こすようになったのが原因です。 まあ、問題行動と言っても遅刻や約束の不履行と言った物ですが。
最例えば「今日こそキーエンブレムボス倒そうね」と集合時間を決めておいたのに1時間の遅刻。 「明日は皆仕事有るし、ボス倒したら解散しましょう」と約束してたのにレベル上げしたいと言い出す。 「皆、仕事がありますし明日にしませんか?」と言うと「じゃ俺一人で行く」と返してくる。
戦士一人で行けるはずがないのです。 その戦士はお金無くてサポすら連れてないのです。 皆が僧侶のMPを貴重な「魔法の小瓶」で回復してる間も棒立ちしてるような人なのです。
まあ、けれど仲間ですし。 放って帰るわけにも行きません。 皆で目を擦りながら手伝いしました。 それが何度も続きました。
けれどキーエンブレム後半になるにつれ、問題の戦士のログイン回数は減ってきました。 そう、付いて来られなくなったのです。 はなは内心ほっとしつつ、残りの仲間(穴は野良で埋めた)とゲームを続けました。
そうこうしてる内に1.0も残り僅かになってきます。 はなが住宅の実装に備えて貯金してた頃、仲間から提案がありました。 「1.0終わるまでに冥王倒したいね」 そうです、天魔は何とか皆で倒せましたが、冥王はまだチャレンジしてなかったのです。 天魔より強いとの噂だったので、皆尻込みしていたのです。
私達はその話題で盛り上がりました。 十分に準備期間を設けて可能な限り聖水を集めました。 「よし!明日冥王行こう!」 そう約束してログアウトしました。
次の日、ログインすると同時にPTに誘われました。 相手はあの戦士です。 既に他の2人もそのPTに入ってしまっています。 入ってしまっていたのです。
単に誘われただけならスルーすると言う手段もありました。 けど、他の2人が参加してしまっているのなら、無視するわけにはいきません。 私はPTに参加しました。
「ピンクモーモン行きたい」
開口一番これでした。 この戦士の言う「○○行きたい」は「小瓶やらなんやらはお前達が負担しろ」と同意語なのです。
はなたちは、そこで些細な……けど、致命的な言い合いをしました。 最終的には「戦士と僧でレベル上げ、残る武と戦士Bでお金稼ぎ」をすることになりました。 別に僧侶が戦士の側についたわけではありまそん。 単に放っておけなかったのです。 ……恐ろしい事に、この間もPTは組んだままです。 レベル上げ側はサポーターも出せません。
そんな状態で戦士Bが話しかけて来ました。 やや天然な所がある戦士Bですが、今回ばかりは空気を読んで白チャです。 以下、その内容を抜粋。
「冥王って強いのかな」 「強いらしいですね」 「冥王倒したらゲームクリアになっちゃうの?」 「クリアというか、シナリオの最後ではありますね」 「倒したらゲーム続けられなくなる?」 「いえ、ゲームは続行できますよ」 「じゃあ、戦士から僧侶になったり出来るよね」 「そりゃできますけど」 「なら、今の僧侶さんみたいに、他の人の手助けしてあげたり出来るようになりたい」
その言葉を聞いて、はなは思いました。 なんて陳腐なんだろう、と。 けど、陳腐ではありますが、その決意はきっと本物なのです。 はなは感動しました。 この戦士Bがミルクさんです。
結局、冥王は翌日に倒しました。 その後、3人で話し合って問題の戦士とのフレ関係を切りました。
次のバージョンが始まってから、3人は攻略歩調が合わなくなりましたが、それでも雑談は続けていました。 良い思い出です。
今は戦士Bも僧侶も引退していますが。 あの戦士はまだゲームを続けていたようです。
久しぶりですね、アジさん。 |